キリスト教美術では様々な象徴物が用いられ、人物や場面が同定されます。仏教美術においても、面・臂(腕)の数、印相(手のしぐさ)、持物、台座などにより、ほとけの判別が行われます。この授業では、如来(仏陀)・菩薩・明王・天(インドの神々)の各ジャンルの中から、造形される機会の多い代表的な尊格を取り上げ、図像の特徴と、そのほとけの属性や役割を解説します。仏教美術に関する基礎知識を身に付け、初めて目にする仏像の尊格や役割を識別できるようになることが第一の目標です。 日本の仏像仏画を中心に扱いますが、源流となったインドの作品や、東南アジア〜東アジアの作品も視野に入れながら、日本の仏教美術の特質を浮き彫りにしたいと思います。複数の事例の比較検討を通じて共通点や相違点を分析し、対象となる事例の特質を把握する力を身に付けるのが第二の目標です。
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