西洋社会経済史料演習U[22B0303]

科目名
Course Title
西洋社会経済史料演習U[22B0303]
Seminar: Historical Materialsof European Socio-Economic History U
授業言語
Language
Japanese
科目区分・科目種 比較歴史学コース クラス 比較歴史学コース
CCBM キャリアデザイン  
単位数 2.0単位 履修年次 34

担当教員 新井 由紀夫
学期 後期
曜日・時限・教室
金曜 3 4 アカプロ棟1階101室

受講条件・その他注意
留学等の事情がないかぎり、1・2は、連続して履修することが望ましい。
授業形態の最新情報については、ムードルのコースを参照すること。

授業の形態
演習,対面授業のみ

教科書・参考文献
初回に参加者と相談して決める。参考文献表を初回に配布する予定。

ALH区分
ALHとして実施

評価方法・評価割合
発表=45%(担当文献の内容紹介、レジュメ作成、調べたことの発表),授業への参加態度=40%(報告討論への積極的参加を加味して評価する),ALH(アクティブ・ラーニング・アワー)=15%

主題と目標
西洋中世史に関する論文を批判的に講読することによって、文献史学を実践的に学ぶことを目標とする。参加者との相談し、西洋中世史に関する最近の欧米の論文を各自選んで報告し、討議する方式でやる予定。レポートも別に提出してもらうが、基本的には一人で20頁程度の、最新の歴史学の英語論文を1本報告することが求められる。また参加者は、毎回、他の参加者の指定英語論文を事前に読んで演習に参加することが望ましい。それがこなせれば、1年で約15本、300頁近くの専門論文を読みこなす能力が身につくはずである。
 なお、テーマ内容に応じて安成教授との共同ゼミとして実施する。

授業計画
ALH1回目(授業開始前に実施すること)として、3年生は卒論で扱いたい地域・時代・テーマの候補をいくつか絞り込んだメモを作成すること。授業初回はそれをもとに皆で検討し、フィードバックを行う。4年生は、卒論の進行状況を報告するメモを作成すること。
ALH2回目として、西洋史学に関する学会・研究会もしくは博物館企画展(オンライン可)に参加し、400字レポートを書き提出してもらう。ALH2回目については、期限は1月末日までとする。


 発表者には必要なレファランスをその都度リサーチし、論点に説得力を持たせる努力が要求される。
 英語論文の報告にあたっては、関連する邦語文献・邦語論文にあらかじめ目を通しておくこと。後期はそれらをもとに各自が担当する英語論文を発表する。演習においては、担当者は、テキストのあらすじ紹介だけでなく、筆者のいいたいことが妥当な意見か検討し、導きだした論点を、他の文献を参考に論理的に議論し発表してほしい。
 ゼミ参加者は、事前に配布された英語論文をゼミまでに読んでおくこと。参考までにここ数年のゼミで読んだ英語論文のテーマ一覧(日本語訳)と論文リストを記しておく。かなりハードに読みこなすことが要求されるので、その旨覚悟すること。



○近年のゼミで読んだ英語論文のテーマ一覧(日本語訳)

(2015年度)
「ナチス親衛隊でおきた同性愛事件:ヒムラーとホモフォビア」
「フランス革命初期における地方政府と中等教育」
「第一次世界大戦期の兵士新聞研究のために」
「ホレス・ウォルポール書簡に見る(同性愛的な)「友人」関係」
「考古学資料からみた魚の消費:安定同位体分析による中世ロンドンと北海貿易」
「考古学資料からみたローマン・ブリテン期の人々と移動:遺骨や遺構の安定同位体分析より」
「18世期イギリス文学に見る貴婦人と愛玩犬の関係:男性に忠実な犬というイメージとの対比で」
「中世中期イングランドの治癒奇跡譚に現れる女性とジェンダー」
「1890〜1921年アルザスにおける社会主義とナショナル・アイデンティティ」
「14世期北西ヨーロッパにおける黒死病とドミニコ会:黒死病がドミニコ会に与えた影響」
「10〜11世期イングランドにおける処女性とミソジニー:教会は処女性をどのように道具にしたのか」
「普仏戦争期パリにおけるドイツ人の追放:内なる敵の追放と国民皆兵による市民の創造」
「女性コスメティック施術者:医療と民間療法のはざまにいた近世イングランドの女性施療者たち」
「中世荘園の犯罪者たちと高野山による荒川荘支配の拡大:高野山文書にみる悪党レッテルと裁判」
「フランス革命期の農民:1789年の農民による陳情書を読む」

(2016年度)
「第一次世界大戦後ヨーロッパにおける全体主義の出現との関連で見た、イスラム主義(イスラミズム)の勃興」
「化けてでる(人々を不安にさせる)日本近代:列車にひかれたタヌキの伝承」
「表情が語るもの:人種差別プロパガンダ映画『永遠のユダヤ人』にみる撮影技法とナチスの戦略」
「セシル・ローズは本当に世界支配を狙ったのか?:ローズの遺言とローズ奨学金を再考する」
「カール・ハウスホーファー再考:戦間期の日独接近における地政学(大陸ブロック理論)の果たした役割」
「ナチス期の国内食事情:人種差別政策に基づく内国優先の食料配給制度と食糧政策」
「魔女狩り最盛期直前、16世紀後半までにおける女性と魔術の関係を裁判史料から読む」
「漫画に描かれた日本帝国:1876〜1910年における日本漫画ジャーナリズムにみる韓国の政治的描写」
「国史、神道、そして神話:記紀解釈史に関する宗教学・神話学を援用した一般的考察」
「1862年のロンドン万国産業博覧会:蒸気機関や機械の展示をヴァーチャルに再現しそのメッセージを読み解く」
「ルイ14世紀における総合救貧院の創設:パリのエリートと王権の社会政策の関係を通じて、17世紀絶対王政の限界と特質を考える」
「ポーツマス講和会議におけるアメリカ世論:日本に対する賛美一色のジャーナリズム報道をあらためて振り返る」
「「記憶の場」としての南アフリカ・ソフィアタウン:それぞれの立場がもつ多様な記憶」
「クイーンズベリ侯爵の愚行:セレブと名声そしてヴィクトリア朝期における貴族・中流階級・労働者階級それぞれの「ジェントルマン」理念」

(2017年度)
「スペインの奇跡:スペイン王位継承をめぐる危機(1580-1700)と、ハプスブルク家による王位継承戦略」
「1239-40年のモンゴルによる南ルーシ侵攻について、種々の年代記の比較考察から具体的事実を探る」
「ヘレフォード大聖堂のどこに、マッパ・ムンディは置かれていたのか?」
「19世紀ヨーロッパ国際法と、中国の儒教秩序:その衝突と融和」
「第一次大戦期におけるフランスの武器生産:ロジスティックスの観点から」
「明治初期における海運業―帆船から蒸気船への転換」
「教会・国家・聖地:大英帝国による戦間期パレスチナ政策と、英国プロテスタント」
「ファッションとフェミニズムとの狭間で:ヴィクトリア中期の女性雑誌における「歴史」の扱われ方」
「王権を装う:エリザベス女王期の宮廷における女官と服飾と権力」
「馬鹿なロバか狡猾なキツネか?―第一次大戦における、「学習」する組織としての英・独陸軍」
「「想像の共同体」と犠牲者たち―旧ユーゴスラビアにおける「民族自決」と「民族浄化」」
「宗教改革前夜の都市チチェスターとチチェスター大聖堂」
「古代末期(4〜7世紀)西欧における聖人と聖なる人々(司教・高位聖職者)」
「双子(一卵性双生児)の知能と遺伝的形成にかんするシリル・バートの研究を巡って―残されたデータから判明する事実」
「近世フランスにおける君主と宮廷社会」
「1905〜18年ドイツ領南西アフリカにおける植民地警察官僚(ランデスポリツァイ)のアイデンティティ形成」
「第二次世界大戦期ナチスによるアラブ・イスラーム向けプロパガンダ・ラジオ放送とホロコースト:新発見のアメリカ外務省史料から」
「イギリスの演劇検閲制度とバーナード・ショウ、そして近代におけるセレブリティ」
「18世紀ロシアにおけるトランプ遊びとギャンブル規制」
「アル=スラーミの『ジハードの書』におけるエルサレムへの言及」
「軍人趙匡胤から宋の太祖へ:蜀征服過程における皇帝意識のめざめ」

(2018年度)
「身体的記憶と感性:「台湾料理」にみられる食の好みと国民意識」
「プラハにおけるマリア記念碑の衰亡とチェコ・ナショナリズム」
「ジョージ・マカートニーの『中国訪問使節日記、1792-94年』にみる文化的差異」
「第一次世界大戦期カナダ軍将校団にみる大英帝国シンパシーvsカナダ・ナショナリズム的シンパシー」
「ウィリアム・オヴ・ニューバラのHistoria rerum Anglicarumに登場する「落ち着かない亡霊」と「社会を混乱させる怪物」について」
「1945-49年におけるポーランドからのドイツ系住民の追放を再考する」
「イスラエルにおけるホロコースト意識の発展:ニュルンベルク裁判からカポ裁判、カストナー裁判そしてアイヒマン裁判まで」
「中世前期スペインにおける、イスラームに対するキリスト教徒意識」
「フリードリヒ大王による粉屋アルノルト裁判(1770-1779年)への介入:再検討」
「ウィンストン・チャーチルと「運命の人」:第二次世界大戦時の戦争映画における首相の役割とリーダーシップ観」
「18世紀ホラー小説にみる恐怖、戦慄と「自然」崇敬:バーク『崇高と美の観念の起源』にみる18世紀の怪物と自然との関係」
「君主と文学:政治社会的道具としての中世アイスランド・サガ」
「ホーリー・グレイル(聖杯)を探して:エドワード3世期イングランドで書かれたアーサー伝説群における聖杯の欠落」
「ルチェーラのスルタンにしてムスリムの友人、文化交流推進者たる皇帝フリードリヒ2世:フリードリヒ2世像に関する論争について」

(2020年度)
「中世の食べ物と色」
「ヴァイキング期および中世初期北ヨーロッパにおける宴会の本質:共食と消費の政治的機能」
「18世紀ボルドーのアフィッシュ(広告新聞)」
「不味いパンに大酒飲みのトルコ人たち:近世西欧の旅行者たちによるオスマントルコの印象」
「1880頃-1930年のアイルランドにおける医学生の文化とマスキュリニティ」
「近世ロンドンとマドリッドにおける商業劇場を比較する」
「ジェームズ1世とチャールズ2世による瘰癧治癒(ロイヤル・タッチ)」
「アンシャン・レジームにおける王立宝くじ」
「17世紀スコットランドにおける占星術の周縁化」
「十字軍時代以前のドイツにおける「騎士」と戦争」
「フィンランドにおける大学政策:運営費交付金の目標志向型配分に向けて」
「イギリスにおけるナニーの出現:1850年までにおけるこどもの養育」

(2021年度)
「近世イングランドにおける服泥棒と、被服窃盗品流通に見る民衆の消費」
「当時の子どもたちの絵を通して見たスペイン内戦」
「1930年代アメリカにおける「野球」を通した日本理解」
「ベッドルームの司教たち:11・12世紀教会改革期における司教のセクシュアリティはどう語られたのか」
「近世ロンドンのブロードサイド(安価な印刷物)にみるペスト流行」
「『ベリー公の豪華なる時祷書』に付された巡礼記念品から所有者の信仰のあり方を読み解く」
「フランス革命期における聖職者の結婚と政治:独身主義は罪か?」
「ナチスの反ユダヤ主義プロパガンダ映画を読み解く:表情と映画技法の利用」
「ラファエル前派を支えた女性たちを再評価する:ラファエル前派の女性表象と絵筆を取った女性たち」
「グローバル・ヒストリーからみた中国染付:世界各地における多様なアプロプリエーション(借用)の実態を考える」
「ナチス支配下の“特権”を享受した家族か?:ウィーンにおけるドイツ人配偶者を持つユダヤ人・ユダヤ人配偶者を持つ非ユダヤ人3家族の運命」
「アングロ・サクソン時代の「聖なる木」と、北西ヨーロッパにおける樹木信仰の伝統」
「漢代における死生観の変遷と墓所にみる漢画彫刻の隆盛」

(同、英文リスト、ただし字数の関係で2020年、2021年分のみ)
2020年
*Christopher Woolgar,

時間外学習
1.担当文献を決めるために、書誌調査等を実施し、候補となる文献リストを作成する。また担当文献を決定するために必要な参考文献を読む。
2.担当文献を読み報告レジュメを作成する。
3.他の報告者の担当論文を、授業日までに読んで参加する。

学生へのメッセージ
ホームページは、http://www.li.ocha.ac.jp/hum/history/teacher/arai/index.html
史料紹介は、http://www.li.ocha.ac.jp/hum/history/teacher/arai/sources/index.html

学生の問い合わせ先
arai.yukio@ocha.ac.jp
オフィスアワーは、原則として金曜日の昼休みです。事前にメールで連絡をください。