キャリア開発特論(ロールモデル編)[15S2008]
科目名 Course Title |
キャリア開発特論(ロールモデル編)[15S2008] Special course on Career Development: Role-model |
科目区分・科目種 |
共通科目(後期課程) |
クラス |
博士課程共通 |
カラーコード |
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キャリアデザイン |
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単位数 |
2.0単位 |
履修年次 |
1〜3年
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受講条件・その他注意 |
博士前期課程・後期課程学生(文系・理系)とも歓迎する。
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教科書・参考文献 |
特になし。必要がある場合、講師が準備する。
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評価方法・評価割合 |
その他=成績は出席点75%、毎回授業終盤でのコメント・シート(考察)の記述25%。積極的な授業への関与があって、考察が充実することは言うまでもない。
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主題と目標 |
総合テーマは「女性博士人材」の多様なキャリア。博士号取得者か満期退学者(一部のみ修士課程修了者)で、アカデミア以外の企業・起業・社会運動などで活躍している若手気鋭のゲスト講師(ほとんど30歳台の身近な"お姉さん"世代の女性)に、自分のこれまでの学び方・働き方・生き方を毎回(15回)リレー形式で披瀝いただく。単なる座学にすることなく、それぞれの授業の後半では、これからの女性博士人材のキャリアパスとロールモデルの在り方を共に議論していく。
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授業計画 |
毎回(火曜日10:40〜12:10)履修者にとって、ロールモデルとして身近な”お姉さん”世代のゲスト講師(女性起業家中心)を1名迎え、キャリアパスとロールモデル(なりたい自分、活かす自分)を議論する。現在の講義予定は以下の通りだが、講師の都合で多少、人選が変わることもある(以下敬称略)。 ※教室は、お茶大アカデミック・プロダクション棟201号教室
4月7日(火) 井出留美(株)office 3.11代表取締役 博士(栄養学)石巻専修大学理工学部非常勤講師、女子栄養大学非常勤講師、東京大学大学院農学生命科学研究科 農学国際専攻 博士後期課程在学中。 奈良女子大学食物学科卒業後、ライオン(株)家庭科学研究所勤務。退職後、JICA青年海外協力隊の食品加工隊員としてフィリピンでモロヘイヤを用いた栄養改善や、女性の職業支援活動に従事。帰国後、日本ケロッグに入社、広報室長を務める。玄米・小麦ふすまの腸内環境や肌への影響について研究。社会人大学院生として女子栄養大学大学院に通い、博士号(栄養学)取得。誕生日に発生した東日本大震災を機に独立。食品ロス・フードバンク・食育・広報・キャリアに関する講義等。
4月14日(火) 吉岡マコ NPO法人マドレボニータ代表 1972年生まれ。東京大学文学部美学芸術学卒業後、同大学院生命環境科学科で運動生理学を学ぶ。1998年に第1子を出産時に、産後の心と体の過酷な現実を体感するも、日本の母子保健のシステムの中には産後女性を支援する仕組みが全くないことに気づき、同年9月に「産後のボディケア&フィットネス教室」を立ち上げる。以来、産前・産後に特化したヘルスケアプログラムの開発、研究・実践を重ね2007年にNPO法人マドレボニータを設立。団体の調査報告である書籍「産後白書」シリーズは、これまでなかった視点で好評。NPOで増えている各「白書」の先駆け的存在。2011年マドレ基金をたちあげ、ひとり親、多胎児の母、障害児の母など、社会的に孤立しがちな母親たちへの支援「産後ケアバトン制度」に着手。第2回「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」国内部門賞受賞(2014年)、GoogleインパクトチャレンジのWomenWill賞受賞(2015年)。
4月21日(火) 光畑由佳 モーハウス Mo-House 代表、NPO法人 子連れスタイル推進協会 代表理事 お茶の水女子大学被服学科を卒業後、(株)パルコでの美術企画、建築関係の編集者を経て、1997年の2人目の出産後、電車の中での授乳体験を機に、「産後の新しいライフスタイル」を提案するため授乳服の製作を開始。「いいお産の日」(茨城、青山)の開催や自宅サロン等も通し、お産・おっぱいをサポートする「モーハウス」の活動を始める。ここで始めた「子連れ出勤」を、古くて新しいワークスタイルとして、青山ショップや百貨店でも実践中。子連れスタイルで子育てと社会を結びつけ、多様な生き方や育て方、働き方を提案する「子連れスタイル推進協会」や、母乳生活全般の研究活動を行う「快適母乳生活研究所」の立ち上げ、その代表を務める。三児の母。2013年経済産業省「ダイバーシティ経営100選」に選出。講義は女性、企業、学生に向けて等。
4月28日(火) 辻田眸 株式会社シンクフェーズ 代表取締役社長(理学博士) 2006年お茶の水女子大学 理学部情報科学科卒業、2007年同大学院人間文化研究科数理情報科学専攻修士課程修了(短縮修了)、2010年同大学院博士課程修了(短縮修了)。2006年にIPA「未踏ソフトウェア創造事業」に採択され、「遠距離恋愛支援システム」の開発を行う。2009年より日本学術振興会 特別研究員DCとしてヒューマンコンピュータインタラクションの研究に従事。2010年より米国ジョージア工科大学客員研究員。2011年より日本学術振興会 特別研究員PDとして東京大学暦本研究室にて研究に従事。この研究成果「笑わないと開かない冷蔵庫」は、2012年のグッドデザイン賞ベスト100を受賞。出産を機に今後のキャリアについて考え、2014年に株式会社シンクフェーズを設立。2015年1月〜 経済産業省 産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 IT人材ワーキンググループ 委員
5月12日(火) 吉田穂波 国立保健医療科学院 生涯健康研究部母子保健担当 主任研究官 1998年三重大学医学部卒業。1998-2000年は聖路加国際病院研修医。2000年より名古屋大学医学系大学院で産婦人科医として、また、博士課程の大学院生として分子細胞生物学における基礎研究に従事。その功績と論文から3年間の短縮卒業を果たした。博士号取得後の2004年より産婦人科医としてドイツ、英国、日本での診療経験を経て、2008年にハーバード公衆衛生大学院留学。2010年に卒業後、同大学院のリサーチ・フェローとなり、少子化研究にとりくむかたわら、東日本大震災では産婦人科医として妊産婦と 乳幼児のケアを支援する活動に従事し、2012年4月より現職。公共政策や研修・人材育成の分野で母子を守る仕事に就いている。3歳から8歳まで4児の母。2013年11月に第五子出産。第2回おイネ賞奨励賞受賞(2013年)、「ワーママ・オブ・ザ・イヤー」受賞(2014年)。
5月19日(火) 横田響子 株式会社コラボラボ(女性社長.net企画運営)代表取締役 1976年生。お茶の水女子大学卒業後、'99年株式会社リクルート入社。6年間人材部門を中心に営業・新規事業立上げ・事業企画を経験後退社し、2006年株式会社コラボラボ設立、現職。現在、1400名以上の女性社長コミュニティを運営し、女性社長を紹介する「女性社長.net」、女性社長300名が集結するイベント「J300」、女性社長の逸品を販売する「Wooooomen's!(ウィーミンズ)」を企画運営。大手企業を中心とした新規事業の立ち上げ、販促支援など多数プロジェクト運営。内閣府・男女共同参画連携会議議員、国・行政のあり方に関する懇談会の委員を務める。2011年9月APEC WES(Women and Economy Summit)にてイノベーターとして表彰。2013年内閣府・男女共同参画局女性のチャレンジ賞受賞。
5月26日(火) 朴 栄光 イービーエム株式会社(工学博士) Australia Nowra Techonology High School/都費留学。芝浦工業大学高等学校/卒業。芝浦工業大学システム工学部機械制御システム学科/卒業。早稲田大学理工学研究科生命理工学専攻博士前期課程/卒業。早稲田大学理工学研究科生命理工学専攻博士後期課程/単位取得退学。04年4月 文部科学省知的クラスター創成事業「岐阜大垣地域ロボティック先端医療クラスタープロジェクト」研究開始。06年3月 自家用操縦士(飛行機)免許取得(陸上・単発/米国ホノルル国際空港)。06年8月 イービーエム株式会社創業 代表取締役 就任。06年10月 早稲田大学理工学術院21世紀COE客員研究助手 就任。08年3月 文部科学省知的クラスター創成事業完了。08年7月 University of Pittsburgh Medical Center, Heart, Lung and Esophageal Surgery Institute客員研究員(現職)。08年10月 早稲田大学理工学術院GCOE 客員研究助手。2013年2月 Japan Venture Award 2013受賞。2014年6月 第1回大田の工匠 Next Generation受賞。2010年4月 早稲田大学 先進理工学部 共同先端生命医科学専攻 助手(現職)、2014年4月 福島県立医科大学心臓血管外科 博士研究員(現職)。 平成26年度ふくしま医療福祉機器事業化事業補助金(オフポンプ冠動脈バイパス手術大規模迅速評価システム事業化)に採択され(2.9億円)、福島市内において事業用地を取得し、心臓外科手術トレーニング・スキル評価の研究・開発・製造のためのラボを建築中。
6月2日(火) 山田小百合 NPO法人Collable 代表 1988年生まれ。大分県出身。重度知的障害を併せ持つ自閉症の兄と弟の間で育つ。日本女子大学家政学部家政経済学科卒業後、東京大学大学院 学際情報学府 修士課程修了。大学院では障害の有無を越えたワークショップに関する研究を行う。多様な人々の社会参画と、それを円滑に推進するための実践的ワークショップや調査、イベントを展開中。
6月9日(火) 熊 仁美 NPO法人ADDS共同代表 / 慶應義塾大学先導研究センター非常勤研究員 1984年生。2004年、慶應義塾大学文学部心理学専攻入学。発達心理学と応用行動分析を学ぶ傍ら、自閉症児の早期療育現場にて臨床活動を開始。2007年、慶應発達障害支援会設立し、学生が応用行動分析に基づいた療育を学ぶ場作りと、家庭への学生セラピスト紹介を開始。2010年、同大学院社会学研究科修士課程修了。2011年、自閉症児に効果的な早期療育が届くことを目指し、NPO法人ADDS設立。同年、同大学院社会学研究科後期博士課程入学、日本学術振興会特別研究員。2013年、後期博士課程を単位取得退学。自閉症児のコミュニケーションに関する研究や、大規模な早期療育の実践研究に携わる。NPO法人では、保護者が家庭で早期療育に取り組むためのペアレントトレーニング、学生セラピスト認定制度、研究や調査を通じた普及啓発事業等を実施し、現在までに学生セラピストを約40名養成。
6月16日(火) 山下彩香EDAYAディレクタ―&デザイナー。 1985年生まれ。東京大学を卒業後、院生として研究対象として訪れたフィリピンでの出会いが転機となり、2012年、北ルソン山岳先住民族の無形文化に着想を得たジュエリーや楽器を扱うエシカル・ブランドEDAYAを立ち上げ、フィリピンで起業。現地における無形文化の調査や教育活動も同時に展開中。東京大学大学院医学系研究科卒。
6月23日(火) 山本未生 一般社団法人 WiA代表理事 1979年生まれ。東京大学卒業後、企業に就職後、(MIT)スローンビジネススクール卒業(MBA)。東北で活動する9団体の社会起業家へ、ハンズオン支援、ファンディング・コーディネーション、インパクト・アセスメント等を通じて、社会起業家が持続的効果的に社会的インパクトを発揮していくための支援を行っている。SVP東京のパートナーとして7年間、革新的な社会起業家を「汗と時間とお金の投資」で支援。2011年、東日本大震災を機に、米国およびアジアの社会起業家およびプロフェッショナルと共に、日本およびアジアで社会的投資を行っている。
6月30日(火) 佐々木 裕子 ChangeWAVE 代表 東京大学法学部卒、日本銀行を経て、マッキンゼーアンドカンパニー入社。シカゴオフィス勤務の後、同社アソシエイトパートナーとして8年間強の間、金融・小売・通信・公的機関など、数多くの企業の経営変革プロジェクトに従事。退社後、株式会社チェンジウェーブを創立し、変革実現のサポートと変革リーダー育成に携わる。傍ら、自らの出産と同時に、子どもの可能性を引き出す託児サービス事業“creche bebe”を立ち上げる。 主な著書に、「21世紀を生き抜く3+1の力」「実践型クリティカルシンキング」「数字で考える力」(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
7月7日(火) 本目さよ 台東区議 1982年3月10日 お茶の水女子大学院修了。研究テーマは「母親の育児ストレスと父親のサポートの関係」。子どもを育てるのがつらい社会を変えたいと考え研究職を目指す。しかし、もっと直接的に社会に働きかけたい思いから、IT企業(株)NTTデータイントラマートに入社。一貫して人事として、社員が働きやすい環境づくりにつとめる。2011年5月より台東区議会議員。政策の軸は「子育て」「女性」。
7月14日(火) 岩附由香 認定NPO法人ACE代表 1974年生まれ。東京都出身。中高にかけて2年間米国ボストンで過ごし、桐朋女子高校を卒業後、上智大学在学中に米国に留学。帰国後、児童労働と教育の研究のため大阪大学大学院国際公共政策研究科に進学、修士課程を修了。その在籍中に、ACEを立ち上げ、以後代表を務める。NGO職員、会社員、国際機関職員、フリー通訳等の仕事と並行してボランティアでACEの活動を続け、2006年国際交流基金日米フェローシップを得て米国のNGO、Winrock Internationalで児童労働解決の成功事例集作成、アドボカシー、ファンドレイズを研究。2007年よりACEに専従で勤務し、ガーナのカカオ産業、インドのコットン産業、児童労働調査、講演、アドボカシーやネットワーク運営、企業との連携、ファンドレイズ等を担当、組織の成長を導いた。日本のNGO141団体が加盟した2008年G8サミットNGOフォーラムのキャンペーンチームリーダーを務め、「100万人のたんざくアクション」を実施、当時の福田首相に地球規模解決に向けた国内外71万の市民の願いを届けた。内閣府による「社会的責任に関する円卓会議」にNPO/NGOセクター代表として参画。リオ+20国内準備委員会の委員、国際協力NGOセンター理事も担う。神奈川県在住、2児の母。
7月21日(火)ミニ「キャリア・ワークショップ」 (砂田 薫特任准教授) ゲスト:中野 円佳(Madoka Nakano) 女性活用ジャーナリスト/研究者。お茶大附属幼稚園・小学校・中学校卒業。筑波大附属高校卒業。2007年東大教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。産後の育休時に、立命館大学大学院修士課程を修了。2014年に修士論文を基に、『「育休世代」のジレンマ』を執筆、ベストセラーとなった。現在東大教育学部博士後期課程在籍。東洋経済オンライン、日経DUALなどで記事寄稿中。2015年新聞社を退社、株式会社チェンジウェーブでダイバーシティ推進サポートを中心に企業変革に携わる。大学学部時代に、学生に多様な選択肢もあるということを示そうと学生団体やインターンシップ、起業などを紹介した『CanPassPort』という書籍を発行。2011年、「東大ママ門」というコミュニティを立ち上げ、高学歴かつ母親である故の悩みを共有できる場を作り、週末に子連れ勉強会などを開催中。
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学生へのメッセージ |
履修者の皆さん、”お姉さん”世代の人生の先輩の生き様から、ご自身のこれからのキャリア(生き方・働き方)を共に考える大事な時間にしましょう!
昨年度の履修者の声: 「学生時代に社会的課題を見つけ、院生時代に起業する行動力や継続する意思はすごいと思いました。私自身も自分の研究の応用性について考えないといけないと改めて感じました」(M1)
「NPOの組織維持の大変さと活動のやりがいが直に聴け、大変面白かったです。」(PD)
「ご自身のやりたいこと(起業)を実現されるまでにたくさん考え、たくさん実行されて様々な経験や想いが、現在につながっていることがわかりました。キャリアに決まったルールはないことが伝わりました」(PD)
「実体験を通して、女性はマルチタスクが得意なのだから生かすべきと言われ、ハッとしました。子育てとキャリアを同時進行させることに対して不安があったのですが、おかげで薄まりました」(PD)
「『違うのが当たり前』というのが、最も頭に残る。いつも人並み、あるいは皆と一緒にというのが当たり前だった私にとって、新鮮なショックだった。『違う』のは物事を異なる視点から見れるチャンスにもなるし、人の目を気にしないで、自分の好きな通りに自分のできることを自信を持ってやっていくことに役立つものになると思いました」(M2)
「必ずしも独立を目標にしていた方が起業するというわけではないことを知り、もしかしたら私自身も起業する可能性があるのかと漠然と思いました。そして、女性で起業している方は、女性にしかできないアイデアを基にしていることが多いと感じました」(M1)
「『遠距離恋愛支援システム』『笑わないと開かない冷蔵庫』の開発、面白く拝聴しました。お茶大での研究室、留学、就活、子育て、起業、とても身近で参考になりました!」(M1)
「お茶大OGとして、子連れ出勤という形を編み出したところがすごいと思いました。授乳服は素敵です」(D2)
「授業を振り返って、本当に貴重な経験ができたなと思いました。信念を突き通すアグレッシブさと、周りや環境を大切にする姿が印象的でした。どんな状況においても、常に前向きでピンチをチャンスに変える力がすごいと思いました。バックグラウンドも、経緯も様々なのに、どの講義も興味深く、半期で終わってしまうのが残念です」(M1)
「キャリア開発特論は基礎編とロールモデル編を両方受講しましたが、今の大学がこんなにキャリア教育に力を入れているのには驚きました。私の学部時代にあったらよかったのに。今の院生は大変だけど、うらやましいと思いました」(M1)
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