動物生理学[20C4016]

科目名
Course Title
動物生理学[20C4016]
Animal Physiology
授業言語
Language
Japanese
科目区分・科目種 生物学科 クラス 生物学科
CCBM キャリアデザイン  
単位数 2.0単位 履修年次 2

担当教員 最上 善広
学期 前期

受講条件・その他注意
授業計画にあげた概念やキーワードとそれに関わる現象について理解し,生命活動の理解への手がかりを得ることを目標とする.成績判定の基準には以下のレベルをもうける.
1)個別の項目について基本的な定性的理解をしていること
2)個別の項目について定量的な説明ができること
3)各項目の有機的なつながりにおいて生命現象を説明できること

授業の形態
講義

教科書・参考文献
生体の電気現象(1),(2),(3) http://bios.cc.ocha.ac.jp/OpenBio/MOGText/ に掲載

‘Principles of Animal Physiology (2nd ed.)’ C.D. Moyes &P.M. Shulte. ISBN 0-8053-5351-8
関連箇所のコピーを配布

評価方法・評価割合
期末試験,小論文(レポート),授業への参加態度

主題と目標
動物の活動・反応の仕組みを生理学的アプローチで探求する。特に,神経の興奮とその伝達などの現象について,生物物理,細胞生物学,分子生物学の側面から解説し,理解を深める。

授業計画
15回の授業について,標準的な進行計画を示す。回数や内容は状況に応じて多少変更がありうる。また,一部をアクティブ・ラーニングにより行う予定である。
1回目
神経の興奮現象への導入として,神経標本の作製や興奮現象に関する古典的実験(フリューガーの収縮則)などのビデオや,ヘルムホルツによる興奮の伝導速度の測定実験を示し,授業の方向を明示する。
2,3回目
生体の電気現象を理解する上での以下の基礎知識の整理を行う。
電位(電圧),電流,抵抗,オームの法則,電圧降下
上記の基礎知識を応用し,カエルの皮膚におけるナトリウムイオンの能動輸送を測定する方法(イオンの移動量を電流で測定する方法)を示す。この説明の中に,膜電位の発生を理解するためのヒントとなる概念が含まれていることを明示する。
4,5回目
ガラス微小電極を用いた膜電位(細胞内電位)の測定方法について説明する(併せて,鎌田武雄の業績を示す)。溶液の(電気的)中性性に基づいて,膜電位発生の基本的な考え方を整理し,定性的(直感的)理解を誘導する。濃度依存的な拡散の自由エネルギーと,電気的移動における自由エネルギーの釣り合いより,平衡電位の概念を説明し,ネルンストの式を導く。
6,7,8回目
実際の測定結果を基に,ネルンストの式を検証し,その結果を基に,ゴールドマンの式を導入する。ゴールドマンの式をもとに,イオン濃度差→平衡電位,透過性→コンダクタンスの置き換えを行い,細胞膜の等価回路を導入する。等価回路をもとに,活動電位発生のシミュレーションを行う。
Hodgkin-Huxley のイオンチャネルモデルをopen/close gate の単純な化学平衡から説明する。チャネルモデルに基づき,自己再生的な活動電位の発生(Hodgkin cycle)と,伝搬を理解する。また,閾値と不応期の存在,およびフリューガーの収縮則に見られる anodal break 現象をチャネルモデルに基づき理解する。
9,10回目
細胞膜の受動的応答(RC回路)を説明し,閾値と刺激時間の関係を理解する。ケーブル理論をもとに,活動電位の伝導速度と軸索の太さとの関係を説明する。加えて,有髄神経における跳躍伝導や,巨大軸索などの,伝導速度を増加させる進化の道筋について概説する。
11から14回目(毛内先生担当)
シナプス伝達を取り上げ,神経伝達物質や受容体の多様性を概説する。(1) シナプス前過程では、量子仮説、(カルシウム仮説)、および小胞仮説について解説する。(2) シナプス後過程では、シナプス後電位の発生メカニズムを等価回路モデルを用いて説明する。(3) シナプス前および後抑制・促進を説明し,活動電位の統合と,伝達後の活動電位の発生(コーディング)と伝導を説明する。(4) 加えて中枢神経系(脳)の活動について概説する。特に、カルシウムイオンの動態について概説する。カルシウムイメージング法について説明し、この手法を用いた最新の研究結果を紹介する。

時間外学習
各回数の授業の終了時に,次回の予定を示す。関連項目について,テキストを参考に予習すること。また,授業内容の理解のために,ミニレポートを課すことがある。その際には各自のレポートの結果を基に次のステップに進むので,必ず作成すること。

学生へのメッセージ
格別のオフィスアワーは設定しない.質問等は随時受け付ける.授業で伝えられることは限られている.授業項目を理解するだけでなく,それらから派生するいろいろな事柄に目を向けてほしい.そのためのヒントや,資料を提供する用意はできている。