確率序論[23N0046]

科目名
Course Title
確率序論[23N0046]
Introduction to Probability
授業言語
Language
Japanese
科目区分・科目種 全学共通科目 クラス 全学科
コンピテンシー
カラーコード
単位数 2.0単位 履修年次 12

担当教員 吉田 裕亮
学期 後期
曜日・時限・教室
月曜 5 6 理学部3号館701室

授業の形態
講義,対面授業のみ

教科書・参考文献
教科書は特に, 指定しない. 講義内で参考書を紹介する予定

ALH区分
ALHを実施しない

アクティブラーニングの技法
AL技法は授業に用いない

評価方法・評価割合
期末試験=60%,授業への参加態度=40%

主題と目標
本講義では、まず公理論的確率空間の構成から始め、確率変数と分布関数・密度関数の概念を理解し、その基本的性質について学びます。加えて重要な確率分布の説明を行う. 統計学への応用上重要となる中心極限定理を数値実験も例示しながらデータサイエンスの理論的基礎となる確率論の詳説を行います。 講義の目標は, 公理論的に構成される抽象的確率空間と、その上で導入される確率変数と分布関数・密度関数等の概念と重要な確率分布とそれらの性質について学び、それぞれの確率分布に対応する現象について理解することになります.

授業計画
第 1 回 事象と組合せ論的確率
 場合の数の数え上げで導入されるラプラス流の確率の定義の解説を行う。この古典的な確率の導入では、困難な事例を示すとともに、公理論的導入の意義付けを行う。
第 2 回 公理論的な確率空間の構成
 公理論的手法によるコルモゴロフ流の確率空間の導入を行う。公理論的確率空間の意味を知ることにより、確率論の理論的体系の理解が深められる。
第 3 回 可測性の概念と確率変数
 確率変数を確率空間上の可測関数として定義することにより、様々な現象に確率変数が導入可能であることを理解する。
第 4 回 分布関数と確率関数・密度関数
 確率変数に付随して分布関数の概念が、現象を記述する確率空間に依らず定義されることをみる。離散型の場合の確率関数および連続型の場合の密度関数と分布関数の関係を理解する。
第 5 回 期待値および分散・モーメント
 確率変数の期待値 (平均) と分散ならびにモーメントの定義を述べ、モーメント (積率) 母関数とその一般的な性質を解説し、積率母関数の重要性について理解を深める。
第 6 回 重要な確率分布 (離散型) 
 主要な離散型確率分布として、ベルヌイ分布、二項分布、ポアソン分布、幾何分布の確率関数を示し、その性質を説明する。あわせてそれぞれの確率分布が現れる代表的な現象について理解する。
第 7 回 重要な確率分布 (連続型)
 主要な連続型確率分布として、一様分布、正規分布、指数分布の密度関数を示し、その性質を説明する。あわせてそれぞれの確率分布が現れる代表的な現象について理解する。
第 8 回 2次元確率分布と同時分布
 離散型および連続型の2次元の確率変数と、その同時分布ならびに周辺分布の定義を述べる。幾つかの代表的な2次元確率分布の解説とあわせて、それらの性質を理解する。
第 9 回 共分散と相関係数
 2つの確率変数に関して、それらの共分散と相関係数の定義と性質を解説し、これらの応用上の重要性について理解する。
第 10 回 確率変数の独立性
 事象の独立性の定義から、確率変数の独立性がどのように定義されるのかを解説する。確率変数の独立性の概念の重要性とその応用に関して理解する。
第 11 回 独立確率変数の和の分布と合成積
 独立確率変数の和として新たに構成される確率変数について、その分布の特徴に関して解説する。あわせて和の分布関数がどのように導出されるのかを理解する。
第 12 回 大数の法則
 確率不等式であるチェビシェフ不等式を示し、その応用として大数の弱法則が導かれることを解説する。あわせて大数の法則の意味を理解する。
第 13 回 モンテカルロ法
 計算機乱数を用いたシミュレーション手法のモンテカルロ法の計算事例を紹介するとともに、モンテカルロ法の有効性の理論的基礎が大数の法則にあることを理解する。
第 14 回 中心極限定理
 キュムラント関数を用いて、中心極限定理が導かれることを解説し、あわせて統計学への応用上の重要性についても述べる。この定理の意味と応用手法について理解する。
第 15 回 極限分布としての正規分布の応用
 中心極限定理の極限分布として正規分布が現れる。計算機による実験例を基に2項分布におけるドモアブル・ラプラスの中心極限定理の解説を行う。あわせて正規分布の応用上の重要性に関して理解を深める。                                                                                   

時間外学習
各回の講義で提示される小課題を自宅学習で行うようにすることにより講義内容の復習も込めて理解を深めるようにすることが重要である.

学生へのメッセージ
機械学習やAI、いわゆるデータサイエンスの理論的基礎となる数学の分野が確率論です。統計学は確率論の実践の場ともいえます. 統計学への実践応用ができるように十分に学習してください.