物理実験学(1)[24C2197]

科目名
Course Title
物理実験学(1)[24C2197]
Methods of Experimental Physics (1)
授業言語
Language
Japanese
科目区分・科目種 物理学科 クラス 物理学科
コンピテンシー
カラーコード
単位数 1.0単位 履修年次 24

担当教員 河野 能知
学期 3学期
曜日・時限・教室
月曜 3 4 理学部1号館201室

(1)、(2)が付く科目の履修方法
この科目は、(1)及び(2)を連続して履修してください(シラバスは両方とも確認してください)。
ただし留学により連続して履修できない場合は、担当教員に申し出てください。

授業の形態
講義,演習

教科書・参考文献
「データ解析のための数理統計入門」久保川達也、共立出版
「数理統計学 -基礎から学ぶデータ解析-」鈴木武、山田作太郎、内田老鶴圃

ALH区分
ALHを実施しない

アクティブラーニングの技法
復習テスト

評価方法・評価割合
小論文(レポート)=50%,その他=50% 宿題・演習

主題と目標
 自然科学の研究における実験的研究は、未知の現象を発見する手段であると同時に、理論的考察に対してその検証を行うという自然の本質の追及に不可欠なアプローチです。実験では何らかの物理量を測定してその結果に基づいて結論を導きます。このように実験と測定とは密接に関連していますが、物理実験の立場からは少し意味合いが異なります。測定は何らかの物理量の値を数値データとして得ることである一方、実験をするというときには、理論的なモデルの正しさを検証したい等、測定データを得る以上の目的をもっています。

 講義の前半では、様々な物理量をどのように測定するかを扱います。物理量といっても時間・長さ、温度・圧力、電気抵抗など対象とする物理現象によって様々なものがあります。物理ではマクロの現象から原子・分子といったミクロな世界まで対象としますが、ほとんどの物理量の測定では、その物理量の値を測定器の目盛りから読み取れるように、測定したい物理量の変化を針の機械的な変位に変換しています。そこには物理法則が応用されています。様々な物理量の測定がどのような原理に基づいているかを具体例を通して学び、測定方法によって測定できる値の範囲に限界があることや測定精度に違いがあることをみます。

 測定で得られたデータには誤差がつきものです。授業の後半では、不定性をもったデータの扱う上で必要な統計学について学ぶことが目標です。まず、測定誤差の定義を明確にして、真の値の推定方法、誤差の評価方法、誤差の伝播や最小二乗法について説明します。また、測定データから理論モデルの妥当性を検証するためには誤差をもつデータからどのような結論を導けるかが重要です。そこで必要となるのが最尤法や仮説検定の考え方です。

 このような統計的なデータの扱いは、自然科学だけでなくデータを扱うあらゆる分野で使われます。近年話題の機械学習・AIの仕組みを理解するためにも必要です。数学的な知識としては、線形代数と多変数の微分・積分を学んでいれば大丈夫です。


授業計画
実験を遂行する上で必要な基礎的事項(種々の測定法、誤差の取り扱い、データ解析法)を説明する。また、最後に自分で一から実験計画を立てる上で必要とされる考え方を説明する。(全15回)

第1部 物理量の測定
 物理実験の例、単位系、様々な現象と物理量、マクロな現象とミクロな仕組み、様々な測定方法

第2部 測定と統計学
 測定と誤差、確率分布と統計量、誤差の伝播、最小二乗法、パラメータの推定、仮説検定、統計的推論、実験データの扱い



時間外学習
前半のデータの扱いに関するところでは、線形代数、多変数関数の微積分、計算機を使った計算などを用います。授業の理解度を深めるために、簡単な宿題を数回出す予定です。

学生へのメッセージ
物理現象を記述する理論とそれを検証するためにどのような実験を行うかの両方を理解できると、物理が一段とおもしろくなるはずです。授業での質問、発表、議論に積極的に参加してください。